大空のサムライ達



敵機動艦隊発見!　敵機接近!　(Battle Formation!)
学徒動員から1年、右も左もわからぬ間に初めて出くわす敵機。そして、落とされる。君もかい?　目を皿にして全方向にくまなく気を配れ。敵機動艦隊上空までは仲間の護衛もあるが、不利な体勢で敵戦闘機と出くわしたら犬死だ。この52型丙は最高速度540km/h、巡航速度370km/h、実用上昇限度11,050m、地上8,000mまでの到達時間は9分57秒。そろそろ目標海域上空にさしかかる。よし、攻撃準備!　見えた!　左斜下、雲の隙間に敵機動艦隊発見!　敵戦闘機隊接近!　 ヤバイ!　後方よりグラマンが襲いかかる!



撃墜されて死ぬわけにはいかない!　(Fire!)

右旋回急上昇。そのまま一回転。敵機は深追いしてこない、すると突然当機の機体すぐ横を轟音とともにゼロがかすめる、味方護衛機だ。機銃音の直後、敵機は火を吹いて視角から消えた。一瞬の出来事だ。辺り一面に高射砲が炸裂する。生き地獄、しかし護衛してくれた友機の為にもここで撃墜される訳にはいかないのだ。



特攻!　(Kamikaze!-Samurai!-Banzai!)

敵空母に突入するには絶好の角度だ。まるで豪雨のような高射砲。ためらっている余地など一秒も無い。すでに僚機達は特攻を敢行、一機、また一機と願い空しく敵艦に至らず荒れ狂う海へと落ちてゆく。さあ、あなたの番だ。もう、引き返すすべは完全に断たれている。あなたに選択肢はもはや無い、ただし、結果は二つに一つ、高射砲に打ち抜かれ太平洋の藻屑と散る、または、敵艦に見事命中し艦と共に誘爆、大炎上、撃沈もしくは損害を与える、かだ。では、幸運を、、、。


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GooD By Hero!

昭和20年4月6日早朝、神風特攻菊水1号作戦は敢行された。山下隊長以下、うら若き大空のサムライ達は純真に、ひるむことなく任務を遂行していったのだ。この作戦では二日間で延べ391機が参加し177機が未帰還となった。戦果は敵艦撃沈4、破損30隻。そして、この作戦は最後の一機、最後の一兵まで続く。若者達は自分に与えられた時代を直視し、運命を受け入れ、進んで一歩前へ、そして散っていったのだ。太平洋戦争における神風攻撃戦死者653名、飛行予備学生戦死者2,454名。戦争が現実であるこの時、散ることが生た証、日本という国を一人ひとりがしっかりと背負、次の世代、つまり私たちの世代へと命若くして託してくれたのではないだろうか。



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Nobuyuki Koukata